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歯のクリーニングと歯石取りの違いは?定期検診の内容と通う間隔
「そろそろ歯石を取ってもらわないと」と思いながら、気づけば何年も経っていた。そんな方は少なくありません。行ったほうがいいとは分かっている。でも、何をされるのか、どのくらいの間隔で行けばいいのかが分からない。そうなると、予約の優先順位はどうしても下がります。
「クリーニング」は、歯石取りや歯の表面の清掃などをまとめて指す言葉として使われています。この記事では、当院の定期検診で実際にやっていることを工程ごとに分け、歯石を取る処置と、歯の表面の汚れを落とす処置の違いを説明します。そのうえで「自分はどのくらいの間隔で通えばいいのか」を、研究の結果をもとに整理します。
定期検診で実際に何をしているのか
当院の定期検診では、診査の結果や保険適用の範囲に応じて、主に次の4つの工程を組み合わせます。
- 診査
むし歯の有無だけでなく、歯ぐきの状態を調べます。歯と歯ぐきの境目の溝(歯周ポケット)の深さを測り、出血があるかを記録します。4mm以上の深さがある場所では、出血の有無や、必要に応じてレントゲンで分かる骨の状態なども確認し、歯周病かどうかを総合的に判断します。 - 歯石の除去(スケーリング)
歯みがきでは落とせない硬い沈着物が歯石です。これを超音波や手用の器具で取り除きます。歯石の表面には歯垢がたまりやすいため、歯ぐきの状態を確認しながら、必要な部分を取り除きます。 - 歯の表面の清掃(PMTC)
歯石を取ったあと、専用のブラシやカップと研磨材で、歯ブラシだけでは落としにくい歯垢や着色を取り除き、歯の表面を整える工程です。当院ではこの工程を「歯の表面の清掃」と呼んでいます。 - セルフケアの確認と調整
診査で分かった「みがき残しが集中している場所」をお伝えします。そのうえで、歯ブラシの当て方やフロス・歯間ブラシの使い方を、その方の歯並びに合わせて一緒に確認します。当院ではこの工程を歯科衛生士が担当し、前回の記録と見比べながら進めています。
毎回すべてを行うとは限りません。診査の結果に合わせて、必要な工程を選んでいます。
歯石取りと歯の表面の清掃は、何が違うのか
上の4工程でいえば、歯石取りが工程2、歯の表面の清掃(PMTC)が工程3です。歯石取りは「硬い沈着物を器具で取り除く」処置、表面の清掃は「残った歯垢や着色を落として表面を整える」処置で、目的も道具も違います。
ここで、知っておいていただきたい研究結果があります。重い歯周病がなく、ふだんから歯科医院に通っている成人1,700人あまりを対象に、決まった間隔で歯石取りと研磨を受ける人と、受けない人を比べた研究があります[1]。2〜3年たった時点で、歯ぐきの炎症や歯周ポケットの深さにほとんど差がありませんでした。歯石の量はわずかに減り、「歯がきれいになった」という実感は高まりましたが、それが歯ぐきの健康の差につながるかは、はっきりしなかったのです。
この結果は、歯石取りが不要という意味ではありません。対象は歯ぐきの状態がもともと安定している方で、歯石取りが必要な方への治療の効果を調べた研究ではないからです。当院では、診査で必要性を判断し、セルフケアの支援と合わせて行っています。
自分はどのくらいの間隔で通えばいいのか
「半年に1回」という数字は広く知られています。ただ、全員に一律で6か月間隔が最適とはいえません。
定期的に受診している成人を対象に、6か月ごとの検診と、リスクに応じて決めた間隔の検診を比べた研究があります[3]。4年後のむし歯、歯ぐきの出血、生活への影響のどれにも、ほとんど差がありませんでした。24か月間隔も比べられましたが、これは歯科医師がその間隔でも問題ないと判断した方だけが対象です。しばらく受診していない方や治療中の方に、そのまま当てはめられる結果ではありません。現時点の研究で言えるのは、定期的に通っている成人について、全員を一律6か月にする明確な利点は示されていない、ということです。実際の間隔は、お口の状態や治療歴を確認して個別に決めます。
この考え方は専門機関の指針にもなっています。英国の医療ガイドラインは、成人の検診間隔を3か月から24か月の範囲でリスクに応じて決めるよう勧めています[4]。
歯周病の治療を受けた方は、話が別です。治療後の管理と清掃の間隔は、欧州の歯周病学会が3か月から12か月とし、リスクに応じて調整するよう勧めています[5]。治療後の管理を5年以上追跡した研究をまとめると、定期的に受診していた方は、不規則だった方より歯を失うリスクが低いという関連が報告されています[6]。ただし、通院以外の違いが影響した可能性もあります。
当院では、この間隔を決めるときにみがき残しの割合を一番重視しています。歯の面ごとに歯垢が残っているかを記録した数値(PCR)を毎回つけ、その推移を見ています。そこに歯周ポケットの深さと出血の有無、むし歯のなりやすさ、喫煙や全身の状態を合わせて決めます。状態が安定すれば間隔を延ばし、変化があれば短くする、という調整を続けていきます。
毎日の歯みがきに加えて、みがき残しの確認を
厚生労働省の令和6年の全国調査では、1歳以上で毎日歯をみがく人は97%と大多数でした[8]。別の診査項目では、15歳以上の47.8%に4mm以上の歯周ポケットが少なくとも1か所確認されています。この2つの集計だけから、歯みがきの回数と歯周ポケットの関係は判断できません。ただ、同じ調査で、フロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を使っている人は1歳以上の6割強にとどまっています。
みがいていても、みがき残しの場所は自分では確認しにくいものです。フロスや歯間ブラシを加えると、歯ぐきの炎症や歯垢が減る可能性が、複数の研究をまとめた報告で示されています[7]。ただし効果の大きさには幅があり、まだはっきりしたことは言えません。毎日の歯みがきに加えて、どこにみがき残しがあるかを定期的に確認する。その確認の場が、定期検診の工程1と工程4です。
よくあるご質問
- クリーニングは痛みがありますか。
歯ぐきに炎症があると、歯石を取るときにしみたり、出血したりすることがあります。炎症が落ち着くにつれて、刺激は減っていく傾向があります。感じ方には個人差がありますので、気になる方は事前にお伝えください。 - 費用はどのくらいかかりますか。
保険診療での歯石除去は、診査で歯周病の治療が必要と判断された場合に、その治療の一環として行います。見た目を整えることを主な目的とする処置は、自由診療になる場合があります。適用や費用は診査のあとにご説明します。ご予約時に受付へお尋ねいただいても構いません。 - 間隔はどうやって決まりますか。
上で書いたとおり、みがき残しの割合(PCR)の推移を中心に、歯周ポケット・出血・むし歯のなりやすさ・喫煙や全身の状態を合わせて決めます。唾液(だえき)の性質や細菌の量を調べる唾液検査を、判断材料に加えることもあります。 - しばらく歯医者に行っていません。定期検診から予約してもいいですか。
問題ありません。初回は診査から始めます。治療が必要な場所があれば、そちらを優先します。
研究による補足:長期的な予防管理を続けた人の30年後
スウェーデンで、成人375人を30年間追いかけた研究があります[2]。参加者はセルフケアの指導を受けたうえで、最初の2年は2か月ごと、その後は必要性に応じて3〜12か月ごとに、歯垢の染め出しとフッ化物配合ペーストを使った専門的な清掃を受け続けました。
高い水準のセルフケアを保ち、同じ歯科医院で管理を受け続けた参加者では、30年間に失った歯の平均は年齢群別で0.4〜1.8本でした。歯周病で歯を支える組織が失われた部位も、ほとんど見られませんでした。ただし、比較対象の群は6年で終了しています。「予防管理を続けるとこうなる」と断定できる研究ではありませんが、長く続けた方の経過を示す数少ないデータです。
ご相談ください
定期検診は「歯石を取ってもらう日」ではありません。お口の状態を診査して、次にいつ来るべきかを一緒に決める日です。当院が心掛けているのは「治療して終わりではなく、その先の健康まで」。定期検診はその中心にある診療です。
症状がなくても、しばらく検診を受けていない方は飯田橋エトワール歯科医院へご相談ください。土曜日も17時まで診療しています。ご予約は https://apo-toolboxes.stransa.co.jp/user/web/1985667623c124527e37ecda41f95a58/reservations から承っています。
参考文献
- Lamont T, Worthington HV, Clarkson JE, Beirne PV. Routine scale and polish for periodontal health in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2018;12:CD004625. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30590875/
- Axelsson P, Nyström B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2004;31(9):749-757. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15312097/
- Fee PA, Riley P, Worthington HV, Clarkson JE, Boyers D, Beirne PV. Recall intervals for oral health in primary care patients. Cochrane Database Syst Rev. 2020;10:CD004346. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33053198/
- National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Dental checks: intervals between oral health reviews. Clinical guideline CG19. 2004. https://www.nice.org.uk/guidance/cg19
- Sanz M, Herrera D, Kebschull M, et al. Treatment of stage I-III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2020;47 Suppl 22:4-60. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32383274/
- Lee CT, Huang HY, Sun TC, Karimbux N. Impact of patient compliance on tooth loss during supportive periodontal therapy: a systematic review and meta-analysis. J Dent Res. 2015;94(6):777-786. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25818586/
- Worthington HV, MacDonald L, Poklepovic Pericic T, et al. Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;4:CD012018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30968949/
執筆者情報
院長(歯学博士)
森蔭 直広Naohiro Morikage
飯田橋エトワール歯科医院のホームページにご訪問いただき、ありがとうございます。
当院では働く方でも通いやすいように、お昼休みの時間帯や土曜日の診療も行っております。また、安心して治療を受けていただけるように、徹底した衛生管理と高品質な治療設備を導入し、患者さん一人ひとりに合わせた適切な診断と治療をご提供できるよう心がけております。お忙しくてなかなか歯科医院に行けなかったという方も、ライフスタイルに合わせた短期間で正確な治療プランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
経歴
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2011年
日本大学歯学部総合診療科にて研修
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2012年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 入局
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2013年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 専修医
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2014年
奥羽大学歯学部口腔外科学講座 臨床助手
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2015年
都内開業医勤務
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2018年
飯田橋エトワール歯科医院 開院
所属学会
- 日本口腔診断学会 会員
- 日本口腔顔面痛学会 認定医
- 日本口腔外科学会 会員
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
- 日本アライナー矯正歯科研究会 会員
修了セミナー
[全顎的治療]
- Education for Oral Rehabilitation ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
[アライナー矯正]
- アライナー矯正治療コース(尾島賢治先生)
[CEREC]
- CEREC Basic Course (風間龍之輔先生)
- CEREC道場(北道敏行先生)
- CERECコース(小池軍平先生)
[審美歯科、保存修復]
- ダイレクトボンディング ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
- プレパレーションセミナー(岩田淳先生)
- C.R.E.Dセミナー(高田光彦先生)
- ADI 実践コース (二宮佑介先生、榊航利先生)
- Anterior&Posterior Restoration-2days Lecture(Marco Gresnigt先生)
[歯周病]
- JIPIぺリオコース(牧草一人先生)
[インプラント]
- Urban Regeneration Institute Advanced Hard and Soft Tissue Course(Istvan Urban先生)
- 水口インプラント道場 (水口稔之先生)
- ブローネマルク・コンセプトによるインプラント・コース(小宮山 彌太郎先生)
- SBICインプラントコース (中澤玲先生)
- 生体主導型歯科臨床セミナー (山道信之先生)






