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詰め物が取れた、歯が欠けた。痛みがなければ様子を見てもいい?

「取れたけれど痛みがないので、忙しくてそのままにしていました」。詰め物が取れたり、歯の角が少し欠けたりした方から、診療室でよく聞く言葉です。食事中に硬いものを感じて、出してみたら詰め物だった。舌で触ると、歯にくぼみがある。仕事の予定を考えると、受診はつい後回しになります。

先に答えをお伝えすると、痛みがなくても、自己判断で長く様子を見ないでください。近いうちに一度、歯の状態を確かめることをお勧めします。痛みの有無と歯の中で起きていることは、いつも一致するとは限らないからです。この記事では、取れた・欠けたときにまずしてほしいこと、そのままにしないほうがよい理由、治し方の選択肢を順に説明します。なお、ここからは詰め物と被せ物をまとめて「詰め物など」と書きます。

取れた・欠けたときに、まずしてほしいこと

取れた詰め物などは、捨てずに取っておいてください。軽く水で流し、小さな容器や袋に入れておくと、なくしにくくなります。受診の際にお持ちいただくと、歯との合い具合を確かめる材料になります。

市販の接着剤などで、ご自身で付け直すのは避けてください。すき間や汚れが残ったまま固まると、診査がしにくくなり、歯や詰め物などを傷めることもあります。受診までは、なるべく反対側で噛み、粘り気のある食べ物や硬い食べ物は控えめにしてください。歯みがきは、取れた部分もやさしく続けてください。

欠けたところで舌や頬が傷つく、しみる、痛む、歯ぐきが腫れる。こうした症状があるときは、我慢せず早めにご連絡ください。強い痛みや顔まで広がる腫れ、発熱があるとき、転んだりぶつけたりして歯が欠けたときは、その日のうちにお電話でご相談ください。

痛みがなくても、そのままにしないほうがよい理由

むし歯で崩れた歯は、自然に元の形へ戻ることはありません[1]。詰め物などが取れたところは、歯の内側が出ていたり、食べ物が入り込んだりすることがあります。そのままにせず、むし歯の有無や残った歯の状態を確かめておきたい理由です。

取れた理由も確かめておきたいところです。理由は一つではなく、取れた詰め物などと歯の両方を見て判断します。その一つが、詰め物の下にできるむし歯です。詰め物と歯のあいだにすき間ができると、そこから細菌が入り、詰め物の下でむし歯ができることがあります[1][2]。このむし歯は、すでに削って治療した歯に起きるため、神経に近い深い部分まで及ぶことが多いとされます[2]。

痛みを目安にしにくい歯もあります。以前に神経の治療をした歯は、むし歯ができても痛みに気づきにくく、発見が遅れがちです[2]。「痛くならないから大丈夫」とは言い切れない理由の一つです。

歯のひびは、すべてすぐ治療が必要?

一方で、歯のひびのすべてに、すぐ大きな治療が必要なわけではありません。米国の歯科医院で、神経が生きていて、ひびはあるものの欠け落ちてはいない奥歯を3年間追いかけた研究があります。歯科医師が最初に経過観察を勧めた歯は、8割ほどが3年間を通して経過観察のままでした[6]。ただしこれは、歯科医師が診て選んだ歯の結果です。実際に欠けた歯には当てはまりませんし、自己判断で放っておいてよいという意味でもありません。

大切なのは、治療するか様子を見るかを、見た目の印象ではなく診査で決めることです。欠けた場合は、欠けた範囲や原因によって対応が変わります。当院では必要に応じて、肉眼の20〜30倍まで拡大できるマイクロスコープで、欠けやひびの状態を確認します。削った天然歯は再生しません。そのため当院では、できるだけ削らない・抜かない治療を心掛けています。ただ、歯の状態によっては、作り直しや抜歯が必要になることもあります。

治し方の選択肢

治し方は、取れた・欠けた範囲と、その下の歯の状態で決まります。大きく分けると3つです。

1つ目は、取れた詰め物などをそのまま付け直す方法です。詰め物などに傷みがなく、歯との合い具合や下の状態に問題がない場合に限られます。

2つ目は、欠けた部分や傷んだ部分だけを直す部分的な修理です。歯に直接詰めるプラスチックや金属の詰め物について、部分的な修理と全体のやり直しを比べた研究では、その後うまくいかなくなる割合にはっきりした差は見られませんでした[5]。ただし比べた研究は3件と少なく、同じくらい長持ちすると言い切れる段階ではありません。詰め物の下にむし歯が見つかった場合も、傷んだ部分の修理か全体のやり直しかを検討します[3]。

3つ目は、詰め物などを作り直す方法です。すき間の下でむし歯が進んでいた場合や、欠けた範囲が広い場合はこちらになります。奥歯に直接詰めたプラスチックの詰め物を調べた研究では、だめになる主な理由は、むし歯と、詰め物や歯が割れることでした[4]。作り直すときは、同じことを繰り返さないように、なぜ取れたのか・欠けたのかも合わせて考えます。

作り直しの素材は、歯科用プラスチック、セラミックなどから選びます。当院には、院内でセラミックを設計・製作できるCERECがあります。歯の状態などの条件が合えば、1回の来院でセラミックの詰め物・被せ物を入れられる場合があります。型取りは、口腔内スキャナーで歯の形を3D画像として読み取って行います。向き不向きや費用、注意点は、診査のあとでご説明します。

当院での相談の流れ

最初に伺うのは、「どうなったらいいと思いますか?」ということです。とにかく早く噛めるようにしたいのか、この機会に見た目も整えたいのか。望みによって、選ぶ方法は変わります。こちらから素材をお勧めするのは、その後です。

そのうえで、欠けた部分や詰め物などの下の状態を診査します。映像や模型を使って現状をお見せしながら説明し、必要な処置と費用は、治療前にご説明します。

よくあるご質問

  1. 取れた詰め物を持っていけば、そのまま付けてもらえますか。
    詰め物に傷みがなく、歯の側にむし歯やすき間がなければ、付け直せる場合があります。ただ、取れた原因によっては作り直しが必要です。どちらになるかは診査で判断しますので、取れたものはお持ちください。
  2. 痛みがないので、数週間先の予約でも大丈夫ですか。
    歯の状態によって違うため、一概には言えません。症状がなくても、なるべく間を空けずに受診されることをお勧めします。しみる、欠けて舌が傷つく、腫れがあるといった場合は、早めにご連絡ください。
  3. 取れたのは銀色の詰め物でした。白いものに替えられますか。
    作り直しになる場合は、素材を選び直すことができます。素材には歯の場所や噛み合わせによって向き不向きがあるため、診査のうえでご説明します。

ご相談ください

詰め物が取れた、歯が欠けたときは、痛みの有無にかかわらず、一度歯の状態を確かめておくことをお勧めします。症状がなく、急ぎかどうか分からない段階でもご相談いただけます。

気になる症状があれば飯田橋エトワール歯科医院へご相談ください。お昼休みの時間帯や土曜日も診療しています。

参考文献

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット. むし歯の特徴・原因・進行. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-001.html
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット. ライフステージ別にみたむし歯の特徴. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-003.html
  3. Askar H, Krois J, Göstemeyer G, 他. Secondary caries: what is it, and how it can be controlled, detected, and managed? Clin Oral Investig. 2020;24(5):1869-1876. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32300980/
  4. Opdam NJ, van de Sande FH, Bronkhorst E, 他. Longevity of posterior composite restorations: a systematic review and meta-analysis. J Dent Res. 2014;93(10):943-949. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25048250/
  5. Mendes LT, Pedrotti D, Casagrande L, Lenzi TL. Risk of failure of repaired versus replaced defective direct restorations in permanent teeth: a systematic review and meta-analysis. Clin Oral Investig. 2022;26(7):4917-4927. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35362754/
  6. Ferracane JL, Hilton TJ, Funkhouser E, 他. Outcomes of treatment and monitoring of posterior teeth with cracks: three-year results from the National Dental Practice-Based Research Network. Clin Oral Investig. 2022;26(3):2453-2463. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34628545/

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。掲載した研究結果は特定の条件で調べた集団の傾向であり、経過や適した治療には個人差があります。ご自身の歯の状態については、歯科医院で診査を受けたうえでご相談ください。

執筆者情報

院長(歯学博士)

Naohiro Morikage

飯田橋エトワール歯科医院のホームページにご訪問いただき、ありがとうございます。
当院では働く方でも通いやすいように、お昼休みの時間帯や土曜日の診療も行っております。また、安心して治療を受けていただけるように、徹底した衛生管理と高品質な治療設備を導入し、患者さん一人ひとりに合わせた適切な診断と治療をご提供できるよう心がけております。お忙しくてなかなか歯科医院に行けなかったという方も、ライフスタイルに合わせた短期間で正確な治療プランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。

経歴

  • 2011年

    日本大学歯学部総合診療科にて研修

  • 2012年

    日本大学歯学部口腔診断科学講座 入局

  • 2013年

    日本大学歯学部口腔診断科学講座 専修医

  • 2014年

    奥羽大学歯学部口腔外科学講座 臨床助手

  • 2015年

    都内開業医勤務

  • 2018年

    飯田橋エトワール歯科医院 開院

修了セミナー

[全顎的治療]

  • Education for Oral Rehabilitation ベーシック・マスターコース(高橋登先生)

[アライナー矯正]

  • アライナー矯正治療コース(尾島賢治先生)

[CEREC]

  • CEREC Basic Course (風間龍之輔先生)
  • CEREC道場(北道敏行先生)
  • CERECコース(小池軍平先生)

[審美歯科、保存修復]

  • ダイレクトボンディング ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
  • プレパレーションセミナー(岩田淳先生)
  • C.R.E.Dセミナー(高田光彦先生)
  • ADI 実践コース (二宮佑介先生、榊航利先生)
  • Anterior&Posterior Restoration-2days Lecture(Marco Gresnigt先生)

[歯周病]

  • JIPIぺリオコース(牧草一人先生)

[インプラント]

  • Urban Regeneration Institute Advanced Hard and Soft Tissue Course(Istvan Urban先生)
  • 水口インプラント道場 (水口稔之先生)
  • ブローネマルク・コンセプトによるインプラント・コース(小宮山 彌太郎先生)
  • SBICインプラントコース (中澤玲先生)
  • 生体主導型歯科臨床セミナー (山道信之先生)