- ブログ
銀歯を白くしたい。セラミックとジルコニア、どう選べばいい?
「笑ったときに銀歯が見えるのが気になって」「昔入れた金属を、そろそろやり直したくて」。診療室でよく伺う言葉です。ところが調べ始めると、セラミック、ジルコニア、ハイブリッド、CAD/CAM冠と名前ばかりが並びます。どれが自分に合うのか分からず、そこで止まってしまう方も少なくありません。

当院では、銀歯を替えるか迷っている方に、まず「どうなったらいいと思いますか」とお聞きしています。見た目を変えたいのか、金属を外したいのか、噛みにくさを直したいのか。望みによって、向く方法は変わります。こちらから素材をお勧めするのは、その後です。

この記事では、白い修復を選ぶ順序を説明します。「どこまで削るか」「詰め物の素材」「被せ物の素材」「保険と自費」「結果を左右する条件」の順です。研究の結果をもとにしていますが、細かい数値は末尾の参考文献に任せます。
素材より先に決まるのは「どこまで削るか」
白い修復は、部分的に補うか、歯全体を覆うかで分かれます。むし歯や古い金属を外した部分だけを補うのが前者です。その場で詰めるコンポジットレジンと、型を取って作るインレー・オンレーがあります。後者が被せ物(クラウン)です。

この違いが大事なのは、残せる歯の量が変わるからです。残っている歯の量と神経の状態は、その後の成績に直結します。
奥歯の部分的な修復を対象に、複数の研究をまとめた報告があります[1]。神経を取った歯では、神経のある歯の2倍以上の割合で失敗していました。神経を残せているかどうかが、成績を分けていたのです。
一方で、削ること自体が神経に負担をかけます。神経のある歯に型取りをして修復した後の経過を調べた報告では、20本に1本ほどで神経が失活していました[2]。低い数字ですが、ゼロではありません。

つまり「必要な範囲だけ削り、神経を残す」ほうが、長い目で見て有利になりやすいのです。当院では、削った歯は元に戻らないという前提に立ち、マイクロスコープや拡大鏡で患部を確認しながら、できるだけ削らない治療を心掛けています。素材を選ぶ前に、削る範囲を抑えられるかを診査する。順序としては、これが先に来ます。
詰め物の素材:レジンとセラミック
範囲が小さい修復なら、その場で詰めるコンポジットレジンが選択肢になります。奥歯に直接詰めたものを長く追跡した報告があります[3]。10年たった時点でも、1年あたりの失敗は2%台にとどまっていました。失敗の主な原因はむし歯と欠けです。その日のうちに終わり、削る量も抑えられる方法です。
範囲がもう少し広い場合は、型を取って作るインレー・オンレーになります。セラミックを歯に接着するこの方法は、神経のある歯では成績が安定していました[1]。当院では、この部分的なセラミック修復を、CERECというシステムで1回の来院で仕上げる方法をご用意しています。仮の詰め物で何日も過ごす必要がなくなります。
どちらの方法でも、削る範囲を抑えられる点は同じです。むし歯の広がりと残っている歯の量を診査したうえで、どちらが向くかをご提案しています。

被せ物の素材:ガラスセラミックとジルコニア
歯全体を覆う必要がある場合は、被せ物の素材を選びます。

ガラスセラミック(二ケイ酸リチウムなど)は、見た目の自然さと成績のバランスがとりやすい素材です。歯に被せる単独の被せ物を比べた報告では、5年後も使えている割合は96%を超えていました[4]。金属にセラミックを焼き付けた従来型と同じ水準です。ただし同じ報告で、長石系と呼ばれる別のセラミックは成績が低く、特に奥歯で下がることも示されています。「セラミック」とひとくくりにはできません。
ジルコニアは、強度の高い白いセラミックです。最近まとめられた報告では、ジルコニアの被せ物も、ガラスセラミックや金属焼付の被せ物と同じ水準の成績でした[5]。表面に別のセラミックを焼き付けた作り方より、一体型で作ったほうが欠けが少ないことも分かっています。強い力がかかる奥歯で選ばれることが多い素材です。
数字はいずれも集団としての傾向です。お一人おひとりの結果を約束するものではありません。
保険と自費、どう考えるか
白い修復には、保険が使えるものもあります。CAD/CAM冠やCAD/CAMインレーといった、機械で削り出す樹脂系の素材を使った修復がこれにあたります。

ただし保険で使える範囲は、部位や条件が細かく決められています。その内容は診療報酬の改定のたびに見直されます。2026年6月からは、同じ素材を使ったブリッジも保険の対象に加わりました[7]。ご自身の歯が対象になるかは、部位・残っている歯の量・噛み合わせで変わります。診査したうえでのご説明になります。
費用も、削る範囲と素材によって幅があります。金額だけで決めると、その部位に向かない素材を選ぶことになりかねません。まず「その歯に何が使えるか」を確認してから比べる。この順番をおすすめしています。当院では、必要な処置と費用を治療前にご説明し、選択肢の利点と欠点をお伝えしたうえでお決めいただいています。

素材よりも結果を左右するもの
研究が繰り返し示しているのは、「素材名より条件のほうが効く」ということです。
修復物の下でむし歯が再発する原因を検討した報告があります[6]。材料そのものより、修復物と歯とのすき間の有無や大きさ、患者さんご自身のむし歯のなりやすさ、装着する歯科医師の経験のほうが関わりが大きい、と述べられています。

先ほどの奥歯のレジンの報告でも、むし歯になりやすい方の修復と、面数の多い大きな修復では、失敗が多くなっていました[3]。同じ素材でも、日々のケアと定期的な管理で結果は変わり得るということです。
神経への負担も、条件で変わります。型取りをした修復の報告では、術者によって神経が失活する割合に差がありました[2]。仮歯の期間が2週間を超えた場合にも、割合が上がっています。工程一つひとつの積み重ねが結果に出る、という指摘です。
高い素材を選べば結果がついてくる、という単純な話ではありません。

よくあるご質問
Q. 銀歯は白くしたほうがよいのでしょうか。
最初にお聞きするのは「どうなったらいいと思いますか」です。見た目のご希望は、それだけで選ぶ理由として成り立ちます。加えて、やり直しの機会に中でむし歯が再発していないかを確認できる、という面もあります。ただし問題なく機能している修復をすべて替える必要はありません。歯を削り直すことにもなるため、診査のうえでご一緒に判断します。
Q. セラミックとジルコニアはどちらが長持ちしますか。
研究では、どちらも金属を使った被せ物と同程度の成績が報告されています。一概にどちらが上とは言えません。トラブルの出方が異なるため、前歯か奥歯か、噛む力がどれだけかかるかで向き不向きが変わります。
Q. 保険の白い被せ物では不十分でしょうか。
保険の修復にも、向いている場面があります。まずご自身の歯が対象になるかを確認し、そのうえで素材の性質と費用を比べるのが現実的です。費用は治療前にご説明します。
Q. 治療は何回くらいかかりますか。
削る範囲と製作方法によって変わります。レジンで詰める場合や、CERECで作るセラミックの修復は、1回で終わることがあります。技工所で製作する被せ物は、複数回の来院になります。診査のうえで見通しをお伝えします。
ご相談ください
白い修復を選ぶ順序は、はじめにどこまで削るかを決め、次に部位と力の条件に合う素材を選び、装着後の管理まで含めて考える、という流れです。素材名から入ると迷いますが、この順なら選択肢は絞り込めます。
当院では診査のあと、映像や模型を使ってお口の状態と選択肢をご説明しています。気になる症状があれば飯田橋エトワール歯科医院へご相談ください。土曜日も17時まで診療しています。ご予約は https://apo-toolboxes.stransa.co.jp/user/web/1985667623c124527e37ecda41f95a58/reservations から承っています。
参考文献
- Dioguardi M, Alovisi M, Troiano G, 他. Clinical outcome of bonded partial indirect posterior restorations on vital and non-vital teeth: a systematic review and meta-analysis. Clin Oral Investig. 2021;25(12):6597-6621. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34628547/
- Al-Manei KK, Alzaidi S, Almalki G, Al-Manei K, Almotairy N. Incidence and influential factors in pulp necrosis and periapical pathosis following indirect restorations: a systematic review and meta-analysis. BMC Oral Health. 2023;23(1):195. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37009911/
- Opdam NJ, van de Sande FH, Bronkhorst E, 他. Longevity of posterior composite restorations: a systematic review and meta-analysis. J Dent Res. 2014;93(10):943-949. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25048250/
- Sailer I, Makarov NA, Thoma DS, Zwahlen M, Pjetursson BE. All-ceramic or metal-ceramic tooth-supported fixed dental prostheses (FDPs)? A systematic review of the survival and complication rates. Part I: Single crowns (SCs). Dent Mater. 2015;31(6):603-623. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25842099/
- Pjetursson BE, Pitta J, Balet A, Bjarnadottir GR, Sailer I, Romandini P. A systematic review and meta-analysis evaluating the survival, failure, and complication rates of metal-ceramic, veneered, and monolithic all-ceramic tooth-supported single crowns-Part 1. Int J Prosthodont. 2026;39(3):308-324. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41489982/
- Askar H, Krois J, Göstemeyer G, 他. Secondary caries: what is it, and how it can be controlled, detected, and managed? Clin Oral Investig. 2020;24(5):1869-1876. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32300980/
- 茨城県保険医協会. 2026年6月1日開始:「CAD/CAMブリッジ」の保険適用について(厚生労働省 2026年5月28日付 一部改定通知に基づく). 2026. https://www.ibaho.jp/20260515-2
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。掲載した割合は複数の研究に基づく集団の傾向であり、経過や結果には個人差があります。修復物には欠け・外れ・下でのむし歯の再発などが起こる可能性があり、装着後も定期的な確認が必要です。治療にあたっては、削る量・費用・想定される利点と欠点を治療前にご説明します。ご自身に適した方法については、歯科医院で診査を受けたうえでご相談ください。
執筆者情報
院長(歯学博士)
森蔭 直広Naohiro Morikage
飯田橋エトワール歯科医院のホームページにご訪問いただき、ありがとうございます。
当院では働く方でも通いやすいように、お昼休みの時間帯や土曜日の診療も行っております。また、安心して治療を受けていただけるように、徹底した衛生管理と高品質な治療設備を導入し、患者さん一人ひとりに合わせた適切な診断と治療をご提供できるよう心がけております。お忙しくてなかなか歯科医院に行けなかったという方も、ライフスタイルに合わせた短期間で正確な治療プランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
経歴
-
2011年
日本大学歯学部総合診療科にて研修
-
2012年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 入局
-
2013年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 専修医
-
2014年
奥羽大学歯学部口腔外科学講座 臨床助手
-
2015年
都内開業医勤務
-
2018年
飯田橋エトワール歯科医院 開院
所属学会
- 日本口腔診断学会 会員
- 日本口腔顔面痛学会 認定医
- 日本口腔外科学会 会員
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
- 日本アライナー矯正歯科研究会 会員
修了セミナー
[全顎的治療]
- Education for Oral Rehabilitation ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
[アライナー矯正]
- アライナー矯正治療コース(尾島賢治先生)
[CEREC]
- CEREC Basic Course (風間龍之輔先生)
- CEREC道場(北道敏行先生)
- CERECコース(小池軍平先生)
[審美歯科、保存修復]
- ダイレクトボンディング ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
- プレパレーションセミナー(岩田淳先生)
- C.R.E.Dセミナー(高田光彦先生)
- ADI 実践コース (二宮佑介先生、榊航利先生)
- Anterior&Posterior Restoration-2days Lecture(Marco Gresnigt先生)
[歯周病]
- JIPIぺリオコース(牧草一人先生)
[インプラント]
- Urban Regeneration Institute Advanced Hard and Soft Tissue Course(Istvan Urban先生)
- 水口インプラント道場 (水口稔之先生)
- ブローネマルク・コンセプトによるインプラント・コース(小宮山 彌太郎先生)
- SBICインプラントコース (中澤玲先生)
- 生体主導型歯科臨床セミナー (山道信之先生)






